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第一部〜青年は荒野をめざした〜
|鉄のカーテンの国(旧ソ連)|アウフ・チャップマン(ストックホルム)|ボヘミアンの街(パリ)|
|はじめての皿洗い(ロンドン)|サンドイッチ職人(ロンドン)|アフリカをめざして(ロンドン)|
|魅惑の歴史遺産(イタリア)|アラブな人たち(アルジェリア)|タイムスリップ万歳(モロッコ)|
【6】アフリカをめざして(ロンドン)
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早朝に起きて一時間の道を歩いて職場に出かける。一杯のコーヒーを飲んでから山積みになった食パンにバターを塗って、ペースト状のタマゴやサーモンそしてローストビーフをパンに挟み込む。ショウケースに充分に並べると道路向いのチェーン店に行って、今度はコーヒーや英国ティーの準備をしてからテーブルセットをして給仕の仕事にとりかかる・・・これらが日常の仕事だった。 ロンドンに来てからもう半年近くが過ぎていた。初めて来た頃はバイト探しに必死で「食って行ければいい」という気持ちだったが、今ではちょっとお金もできて市内見物を楽しんだりするようにもなった。観光気分を味わうのは最初は新鮮だったけれど、しばらくすると案の定「旅に出たいなあ・・・」と思うようになってきたのだった。このヨーロッパに暮すために日本を飛び出たのではなくて、結局は放浪のロマンを感じるためにやって来たと悟るのはもっと後になってからだったが、今はとにかく無性に旅に出たかった。 |

写真上:バッキンガム宮殿/国会議事堂/ハイドパーク 写真下:毎日バイトに通い続けたロンドンの街並
| アフリカに行こうと考えていた矢先にバイト先でちょっとしたトラブルがあり、突然に解雇を言い渡された。自分としては「今は2月の真冬だから、もう少しお金をためて春になってから」と考えていたのだが、それまで他のバイトを探すのも難しいので思い切ってロンドンを出る事にした。 半年足らずとは言っても腰をおろして生活していただけに、再びヒッチハイクの旅に出るのは新鮮な緊張感があった。これまでの生活用品を処分してリュックに詰め、地下鉄でロンドンの郊外まで出て行った。街のはずれまで来ると「これから長いヒッチの旅が始まるのだなあ・・・」と改めて未知への期待と同時に、ロンドンでの生活にピリオドを打った事を実感した。 季節は真冬の2月。あたり一面には雪が降っていた。オーバーコートにリュックを背負って、親指を立てながら車道を歩く。まずはドーバー海峡を渡ってヨーロッパ大陸に入るためにイングランドを南に一直線だ! |

雪景色が美しい真冬のヒッチハイク、ドーバーに着いたのは日暮れだった。 この海峡を渡ればイギリスとはお別れだ。
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ドーバーからベルギーのオステンデに入ったのは夕方だった。どうしても今日中に移動したかったので、そのまま首都ブリュッセルに向ったのだが街に到着したのは夜の10
時過ぎ。周りは真っ暗で、そこから地図でユースホステルを探してたどり着くために苦労した。 一夜明けて、休む間もなくベルギーからドイツに向った。ケルン〜フランクフルト〜ミュンヘンと繋いでオーストリアを通過し、北イタリアに入る予定だったが、このドイツのヒッチハイクでとんでもない目に遭遇したのだった。 何台かの車を乗り継いでフランクフルトを午前中に出たまでは良かったが、途中からピタリと車が止まらなくなった。午後になって雪が降り出し、あたりも薄暗くヒッチが難しくなりかけた頃、運良く一台の長距離トラックが止まった。 ・・・ところが、この運転手が大変な相手だった。同乗してから3〜4時間も過ぎただろうか、さすがに会話も途絶え気味になって互いに沈黙が続くようになってきた。日中の疲れもあって、黙っていると睡魔に襲われそうになったが我慢して前方の景色を見ていると、時折センターラインが激しくブレるのに気付いた。 「うわあ〜〜〜っ!寝てる!!」 この時の私は生きた心地がしなかった。話し掛けるとハッと気付いたようにハンドルをとるのだが、それもしばらくの間の事でまたもやガードレールに近づいたりセンターラインを大幅に越えたりし始める。 |

ミュンヘンからインスブルックに向う道中にはアルプスの山々が見える。
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